
日本史上屈指の「ドラマ向き」人物といえましようか?
史実では、衣川館で家来とともに自刃とありますが、人々の判官びいきはそれを認めたくないようで昔から数多くの生存説が存在します。
津軽海峡を渡り蝦夷地に入った、さらには大陸に入ってあのジンギスカンになったという説まで。
当然のこと、アイヌ娘との恋愛ストーリーが数多く存在しますが、今からご紹介するのはちょっと毛色の変わった話です。
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蝦夷地を逃避行する我らが義経主従、あるアイヌの村にたどり着きます。
聞くところによればこの村では、大層可愛らしい姫君が花婿募集中とか、
これは素通りする手はないでしょう?
果たして主従も、そのように行動します。
さてさて詳細を聞けば。
なんとなんと、姫君に相撲で勝つこと、これが入り婿の条件。
えっ、えっ!
今まで、数多の屈強なアイヌ青年がチャレンジしたけれども、悉く打ち負かされたとか。
狐につままれたような心地になる主従、そして、現われ出たる当の姫君、
ホント噂どおりの可愛らしい娘!
ただし、身長195cm・体重120kg、
『弁慶とどっこいの大女』とのことだから、ま、こんなとこでしょう。
流石にたじろぐ主従ですが、そこは持ち前の明るさとチャレンジ精神で勝負を開始します。
…が、実にあっけない。
伊勢三郎以下の家来衆、悉く45日(一突き半)で重ね餅にされてしまいました。
うーん、こうなればエースを出すしかないでしょう。
敗退した三郎以下の声援に促されて、弁慶が土俵に上がりました。
ガチーン!
はでなぶつかり合い。
そして、がっぷり四つに組む。
満座の一同は、固唾を飲んで勝負を見守ります。
なんせ、この世にこんなでかい人間がいたのかと驚愕するような巨漢巨女のぶつかり合いです。
これを見逃す手はないでしょう?
一同の眼差しは真剣そのもの。
ですが、一人だけ真剣でない者がいました。
当の弁慶です。
いや、べつに『真剣でない』という訳でもないのですが。
ペタリと張り付く胸部、そして鼻腔に飛び込む甘い乙女の香り…
どうも、いつもと勝手が違い、リズムが狂う。
かたや姫君のほうは、手馴れたものです。
いつものごとくいつものように、足が止まった弁慶をじわりじわり追い詰め、そしてみんごと投げ飛ばしました。
あーあ、五条大橋に続きまたしても不覚!
ダメじゃないか、弁慶さんよ。
これで義経チームは全滅。
またしても花婿は見からなかったのか、と悔しさ半分嬉しさ半分の酋長。
満座の一同は帰路に着き始めました。
と、そのとき「仕方ないものどもよ、ならワシが」の声があがります。
ほかならぬ主人の義経。そうでした、すっかりこの人を忘れていました。
「九郎の殿には無理だと思います」一呼吸あって姫君。
そうでしょうよ、そうでしょうよ。義経という人は160cm内外、体重にいたってはこの姫君の半分もないでしょうから。
でもまあ、一応義経にも権利があります。
再び花婿選考会が始まりました。
抜群のフットワークをいかし、懐に飛び込む義経。
がっちりと両前褌(?)をとり、相手胃袋あたりに頭をつける。
振りほどこうと横に振る姫君の襟口がはだけ、豊満な乳房が飛び出します。
得たりと義経は、首を起こし吸い付く。小兵で得した。でもこんなのあり?
あっと小声をあげ力が抜ける姫君。空かさず義経は差し手を深く、ヒメドコロに差し入れゴニョゴニョ弄くりまわします。
完全に出足のとまった姫。ここで義経はもう片方の差し手を抜き、「もう片方」の乳房を愛撫しはじめました。
変形三所責め、相撲の手ではないんですがねえ。
こちらの方はからきし弱い処女姫が、京の都を鳴らしたプレーボーイ義経のテクに抗えるわけがありません。
恍惚となり完全に身体の力が抜けた姫を義経は渾身を力を込めて土俵に叩きつけました。
ずしーんと地響き、そして花婿決定!
「九郎の殿はずるいのぅ」と頭をかく弁慶。あくまでも好人物のようです。
こうして、三国一の花婿を得たこの村では祝宴がもようされ、夜が更けていきました。
めでたし、めでたし。。。
…ではないのです。
なんとその晩、皆が寝静まった頃を見計らい義経主従は、村の金銀財宝をことごとく盗み出してドロンしてしまったのです。
アイヌの伝承でも好意的に受け入れられている義経ですが、この村の伝承では珍しく悪人に描かれているようです。
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如何でしたか?
非常に珍しい義経悪人伝です。
ソースが納屋で見つけた昔の夕刊紙の飛び飛びの切り抜きしかなかったため、殆ど私の書き下ろしになってしまったかも知れませんが。
この項は歌なしです。
パスワードを発行してもらった某会員制サイトへの感謝をこめて、件のサイトのテーマ(クライマックス部は逆志向、あはっ!)を書いてみました。